ASD・自閉スペクトラム症に対する有効な療育プログラム

 もう20年も前になる。
 当時は自閉スペクトラム症(以下ASD)への強い課題意識が、福祉や療育分野に続いて教育でも生じており、オゾノフら(1998)のような,ASDに対して有効な療育プログラム共通する特徴(1構造化された行動療法的で教育的なアプローチをとっていること2プログラムを家庭でも実施するために親のトレーニングも行っていること、35歳までに開始していること、の3点を挙げた。)を示す論文が散見された。

     オゾノフら(1998)ASDに対して有効な療育プログラム共通する特徴
     1.構造化された行動療法的で教育的なアプローチをとっていること
     2.プログラムを家庭でも実施するために親のトレーニングも行っていること
     35歳までに開始していること

 つまり、応用行動分析(ABA)や構造化を中心として体系化されたプログラムに則り、家族と協働して,可能な限り早い時期から行なうべきだということになる。
 あれから20年。上述した三つの要素を「家族との協働」をという視点から、私なりにまとめ上げ、体系化してきた。





 学習の基本構造には,4つの階層があると考えています。

 第1層が環境調整,構造化です。発達障がいの支援には、ライフステージで起こりうる行動問題等のリスクを回避することが先決です。例えばASDへのエチケットであると言われるまで一般的になった「構造化」という手法を用います。感覚処理問題に備えた環境の工夫や,活動及び時間の見通しがたちやすい教室環境の工夫です。私は特に「三種の神器」として,スケジュール,コミュニケーション,タスク・オーガナイゼーションの枠組みを提案しています。

 第2層が脳科学に基づく一人一人の理解です。まずは周囲がご本人のことを理解することが先なのです。発達障がいを理解するための知見は、日進月歩といっても過言ではありません。国立特別支援教育総合研究所時代に上梓した自閉症教育実践マスターブック(2008)(以下「マスターブック」)では、「学びを促進するための特性の理解と活用」という表現を用いました。発達障がいの認知特性を「才能」や「個性」と捉えて,学習スタイルに活用しようという試みをしています。

 第3層が意欲,主体性です。学習には、能動的な関与が欠かせません。「ガイドを受け入れる」,「指示書にそって課題を達成する」,「好きなものや,好きな活動が複数ある」,「困った時に援助を受けたいと伝えられる」など,全ての学習活動が成立するための前提となる活動(学習を支える学び)があります。マスターブックの中心的な研究成果である「JsKeps™アプローチ(7つのキーポイント)」を活用していきます。

 第4層が本人の希望, 社会生活で年齢相応に必要な力です。機能的な目標として,「言葉や文字,数,読書,書字やお手伝いなどの」学習内容,さらに職業人として必要なスキルとして「生活スキル,職業準備スキル,職業スキル」を提案しています。

 このように発達障がいのある子どもたちの療育を展開する際には,学習の基本構造に基づいた療育内容・方法の検討をしていきます。特に第3の意欲,主体性を重視した「JsKeps™7つのキーポイント)アプローチ」が大切だと考えています。

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